あなたの会社には、多額の社長借入金がありませんか? 社長借入金を免除することで、社長自身の相続財産を減額することができます。一方、債務の免除を受けた会社は、その免除額相当の利益を計上しなければなりませんから法人税の負担が必要になります。ただし、繰越欠損金(過去の赤字)がある場合には債務免除益と相殺し、税金を減額することが可能です。会社の業績が長い間赤字で、会社に対する貸付金が返済される可能性が低いと考えられている方は、相続財産を減らすため会社に対する貸付金の債務免除を行ってみてはどうでしょうか。

 

 

■必要な手続き

会社に対して債務免除額の通知をするだけです。ただし、会社の代表者が自分の会社に対する債権を免除しても法人の税務申告をするまでは対外的証拠が残りませんので、債務免除額が多額になる場合には、本当に免除したという証拠を残すために公証人役場にて確定日付を取ることで、債務免除をした証拠を取られたほうが良いと考えています。料金は1通700円ですので、大した負担にはなりません。

一方、債務の免除を受ける会社側では株主総会や取締役会の決議など特別な手続きや書類は必要ありません。

 

 

■活用できる繰り越し欠損

繰越欠損金は、その欠損が生じた事業年度から数年間繰り越せます。(その繰り越せることができる年数は、その年によって違います。)例えば、3月決算法人の場合期末が20年3月までの繰り越し欠損は7年間(27年3月期まで)、翌年以降の繰り越し欠損は9年間繰り越すことができます。

 

■銀行の評価に対する影響

法人の負債である社長借入金は、銀行側では通常の場合、金融庁の指導により資本金と考えて信用評価を行っていますので、債務免除を行ったからといって銀行の評価が向上することは一般的ににありません。ただし、帳簿上の繰り越し欠損は、減少しますからパッと見は見栄えが良くなるかもしれません。

 

■株主と債務免除者が異なる場合の注意事項

多くの中小企業では、社長が100%株主ですので法人の債務者と株主が一致していますが、同族会社の場合において債務免除者と株主が異なるとき、その免除によって免除者以外の株主の株式の価値が増加した場合には、債務免除者から他の株主に対して株式の価値の贈与があったものと取り扱われますので注意してください。(赤字額が多額の場合には、多少の免除を行ったとしても通常は価値はマイナスのままですので増加しません。)

 

■債務免除を受けるデメリット

社長借入金は、過去に役員報酬等として所得税等が課税された課税済みのお金です。従って、社長借入金を支払う場合には税金はかかりません。債務免除を受けた場合には、当然ながら無税で会社から社長へ移すことができるストックがなくなってしまうことになります。将来、会社の業績が向上した場合には、所得税等の納税をして社長にお金を支払わなければいけくなってしまいます。

 

 

P.S.債務免除額をいくらにすべきかは、法人の事業計画や繰越欠損金、他の株主の有無、相続財産の多可等を勘案して総合的に決定する必要があります。決断をされるにあたっては、専門家に相談の上、慎重におこなってください。