■概要

非常勤役員への報酬はいくらまでなら税務署に否認されないのでしょうか? 「人生いろいろ。天下りもいろいろ。」といった首相が非常勤役員として、年額1300万円の報酬を受け取っていましたが、一般の法人では通常認められないでしょう。実は、非常勤役員に対する報酬という規定は存在していません。常勤であれ、非常勤であれ役員に対しては労務の対価として不相当に高額な部分が否認されるだけです。ですから、会社に出社しようが、しまいがきちんと金額の合理性を説明できれば、税務署に否認されることはないわけです。しかし、税務署から「役員報酬について、どうしてこの金額なのか説明しろ!」と言われても実際問題、利益と労働の関係を説明することは難しいわけです。では、どうすればよいかこれにはとっておきの方法がありますが、ここでは解説致しません。こちらについては、クライアントのみにご説明しております。

 

■詳細

非常勤の親族役員への報酬は幾らぐらいが妥当なのかと言う質問に明確な回答はありませんが、平成17 年にこの金額につき国税不服審判所の裁決が出ています。

 

●事案の概要

代表取締役であるAさんは、設立以来母親を非常勤取締役としており、月額300万円(年収3,600 万円)の報酬を計上し、損金の額に算入していたところ、税務署は、取締役としての職務は特に定まっていないことを理由として、月額約15 万円のみを損金に算入すべきという処分を下しました。この月額約15 万円というのは同種の企業の非常勤役員報酬の平均値です。これに対しAさんは、母親は事業の上でも自分の良き相談役であるので少なくとも他の従業員とおなじ月額50 万円が相当だとして国税不服審判所に処分の取り消しを訴えました。

 

●国税不服審判所の判断

この訴えに対し国税不服審判所は税務署を支持し、月額約15 万円のみを損金の額に算入するのが妥当であるとする判断を下しています。「良き相談役」というのはあくまで主観で客観性・具体性に欠けるものであり、何らの証拠書類もないことなどがその理由です。

 

●名目役員と租税回避

推測ですがこの場合、実態は名目役員であったと思われます。また月額300 万円の報酬は社会通念上も逸脱した金額であり、社長の所得を母親へ分散し、所得税の軽減を意図した行為であったのだと思われます。

 

●月額15 万円を多いと見るか、少ないと見るかは考えようです。

この裁決を「名義だけの親族役員にも、月額15 万円は認めても良い」と解釈すると、親族役員の場合、儲かっていないときは只で仕事をし、仕事が順調になったので従業員をやとって今は特に仕事をしていない場合や、仕事はしていないが、借入れの担保としての土地を提供している場合や、きちんと役員会には出席し、会社の意思決定には参加している場合などがあります。様々なケースが想定されますから、月額15 万円以上の報酬の支払いも充分可能です。

 

 

※このコラムは投稿時の税制等に基づいて作成しております。記載内容には十分な注意をしておりますが、最終的な判断は各専門家への相談をしてください。弊社への相談なしにとられた行動につきましては一切の責任を負いませんのでご了承ください。