■概要
所得税と法人税の給与の取扱には大きな差があります。中でも特に大きいのが、家族に対する給与です。法人税では、働いている者に対する給与であれば適正金額なら給与となりますが、所得税の場合には経費にできません。これは、家族間で所得の分散をすることで税額を下げようとすることを防止するためだと思われます。所得税は、超過累進税率という税率構造で所得が増加するにしたがって税率が上がっていきます。

では、所得税で家族に対する給与を経費にするにはどうすればよいのでしょうか。そのためには、事前に税務署に届出をすることで適正金額であれば認められることとなっています。これを「青色事業専従者の届出」といいます。白色申告では、経費にできないのです。

■詳細

●小規模な同族会社の主宰者と生計を一にする配偶者その他の親族(親族等)がその同族会社から役員として受ける報酬と個人事業主と生計を一にする親族等がその事業主から受ける給与の性質は、類似しているようですが、前者は会社法及び法人税法、後者は所得税法の適用を受け、その効果には差異があります。

 但し、役員報酬は「職務執行の対価」として、他方、青色事業専従者給与は「労務の対価」としてそれぞれ相当であると認められる金額が損金算入、又は必要経費算入の要件となっています。

●毎月の支給額に変更があった場合
 役員報酬は、定期同額支給といって、一定の場合を除き、事業年度の中途においてその報酬額を変更すると、その変更前後の役員報酬の一部が損金算入できません。
 なお、一定の場合とは、期首から3月以内の改定や法人の業績が著しく悪化した場合などです。

 他方、青色事業専従者給与ですが、個人事業主が青色事業専従者給与として納税地の所轄税務署長に届けた金額の範囲内であれば、業績の一時低迷や資金繰りの悪化などにより毎月の給与に変更があったとしてもその支給額については、個人事業主の事業所得、不動産所得又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入されます。

 また、年の中途において青色事業専従者給与の支給額を引き上げることも可能です。

 この場合の手続きですが、「青色事業専従者給与の変更届出書」を遅滞なく納税地の所轄税務署に届出ればよいことになっています。
なお、個人事業主が生計を一にする親族等に対して青色事業専従者給与を支給するためには、その年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに青色事業専従者を有することとなった場合には、その開始した日又は専従者を有することになった日から2月以内)に、納税地の所轄税務署長に対して「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しなければなりません。

●未払い計上の可否
 法人の役員報酬については未払い経理した報酬についても損金算入が認められますが、青色事業専従者給与に関しては実際に支給した金額のみが必要経費に算入され、未払い経理した給与につては必要経費としては認めらません。