■概要

いろいろ納税者に有利な特典のある青色申告ですが、帳簿書類の備え付け、記録、保存が適正になされていなければ、取り消される場合もあります。また、過度の隠ぺいや仮装経理を行った場合にも取り消される場合があります。所得税では特に明文規定はありませんが、法人税では期限内申告も条件に加わっていますし、消費税においては帳簿及び請求書の保存要件がさらに厳格にさだめられていますので、専門家の指導のもとしっかりとした経理業務を行っていくことが重要です。

 

■詳細

  • 青色申告承認の取消の趣旨

青色申告制度が、一定の帳簿書類を備え付け、信頼性のある記帳をすることにより、所得及び税額の計算根拠を検証可能とした納税者に対し一定の手続上の保障や所得計算上の特典を与えるものであることから、特典等の付与を継続することが青色申告制度の趣旨・目的に反することとなるような一定の事情がある場合には、税務署長がその承認を取り消すことができることになっています。

 

  • 取消に係る税務署長の裁量権

青色申告の取消は税務署長の裁量に委ねられていますが、その裁量権の行使は合目的かつ合理的でなければなりません。従って、帳簿書類の備付け、記録及び保存の水準が、その業種、業態、経営規模等が反映した一定の限界から著しく劣っている場合でなければなりません。

 

  • 裁量権の範囲とされた事例

法人税確定申告書を2期連続して申告期限内に提出しなかったことから、青色申告の承認の取消しを受けた事例で裁判となり、判決は「きちんと帳簿書類を作成して申告に備えていれば、本来、期限内に申告ができないという事態が生ずることはあり得ない」として、取り消し処分を是としました。しかし、帳簿要件と期限内申告は無関係なことなので、条文規定のしばりがない所得税では法人税と異なった扱いをすべきです。税理士など、還付申告となるケースの多い納税者が繁忙期を避けて期限後に申告する場合など国に対する協力とさえいえることなので、そんな場合に青色申告の取消の合目的性・合理性など認められません。

 

  • 裁量権逸脱とされた事例

税務署長は、帳簿書類の備付け、記録の不備が納税者の業種、業態、経営規模等を考慮してもなお、真に青色申告による納税申告を維持させるにふさわしくない内容、程度に達しているとの点についての的確な主張・立証をするべきで、記帳不備改善についての必要な指示をし、その指示に従わなかった場合において、青色申告承認の取消しを行うという手順を踏むのがスジで、更正処分の理由付記回避のための修正申告慫慂(しょうよう:そうするように誘って、しきりに勧めること。)に従わなかったことを理由とする取消処分は裁量権の範囲を逸脱しており、違法である、との判決があります。